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by 村上 千明
弓道
 
 
努力は必ず報われる―
 
 
私は高校生の時、弓道部でした。

県内でもトップクラスの進学校で、勉強も部活も優秀。
自主自律、文武両道の風潮。
中学の時は体操部だったけど、相性がすこぶる芳しくなかったため、高校では新しいことを始めよう。
袴が着てみたい、的に矢が中たったら気持ちよさそう、それにみんなイチからのスタートだから平等でいいなーと。
 

そんなわけで入った弓道部。


例年を遥かに上回る新入部員の数。特に女子。
部内競争半端ない空気すでに出てるし、おまけに先輩達怖すぎ。
こりゃ嫌でも打たれ強くなるわ。

ただ、こんなことで一度入った弓道部をあっさり辞めるなんて自分を許せないわ。
こうなったら持ち前のド根性で生き延びてやろうじゃないの。

友人達がせっせと勉学に勤しむ中、大学進学や卒業してからやりたいことなんて考えたこともなかった私は、

キレイな高校に入れた満足感と安心感、開放感で、弓道だけ。

それはもう完全な弓道バカになりました。


その頃の私のモットーは「イチに弓道 ニに弓道 サンシに恋愛 ゴに弓道(勉強は?)」。

練習もそうですが、鬼先輩方からの説教の嵐にも歯を食いしばり、
いやもう、これはレギュラー入りしない方がどうかしてるだろと自分で自覚するくらいに努力しました。

その甲斐あって、同期部員の中では常にトップを走り、

先輩に混じって試合や遠征メンバーにも入れてもらえる優等生。
今振り返ってみても、本当に恵まれていました。
 
で、みんなより一歩先にスタートダッシュをきった私は、
みんなが調子を上げて来る頃、どんなに練習しても結果に繋がらなくなりました。
やばい。どうすればいい。こんなに頑張ってるのに。
先生や先輩にもアドバイスや助けをいただく。でもどうにも出来ない。違う。
もう何にも分からない。
涙を流しながらの猛練習の甲斐なく、これまでの手に取るような成果が嘘のように補欠からも外されました。
自分よりも練習をしていない人が選手に選ばれる事が、死ぬほど悔しい。

もう終わりかなって思いました。少し。

結構頑張ったし。

でも弓道が好きな気持ちは消えていなかったし、
こんなに努力が素直に受け取れる競技はないと、無意識に分かってきていたのだと思います。



ふざけんなや。誰よりも努力してんだよ。


選ばれた奴ら見てろよマジで!!!




心の糸が切れ、奮い立ちました。

誰に嫌われたって構わない。弓道の神様にだけ好かれればそれでいい。
次の試合で選手に選ばれ、全国へ行くのは絶対に私。

そう心に誓い、ゼロからやり直す覚悟で練習を始めました。


休みの日でもたった一人道場に通い弓を引き、その矢の本数は他の誰にも負けませんでした。


次の試合が来るその日まで、狂ったように闘志を燃やし続けました。

 

そして迎えた試合の日。

どん底から這い上がり、選手に選ばれた私の、ここ数ヶ月間の燃えたぎるような心は、
なぜか不思議と静まり返っていて、試合で勝ちたいとか中たりますようにとか、
そういう気持ちは全く起こりませんでした。

意図せず心が無となっていて、緊張していたのかどうかも記憶にありません。


ただ私の放った全ての矢は、寸分の狂いもなくまっすぐに的へと吸い込まれていきました。





結果は、団体、個人ともに優勝。




努力は必ず報われる。頑張った人には神様って絶対にいる。

そのことを身をもって知った瞬間でした。


勝とうなんて考えてもいなかったのに。

ただ本番、楽しんで弓を引いただけだったのに。


でも、今だからはっきりと分かることがあります。


その結果が受け取れたのは、不思議なことでも何でもなくて、

全試合出場者の中で最も努力をした者が、それに値する結果を受け取っただけのこと。

人生って、シンプル。

 
人生はシンプル

 

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